ORIGIN – はじまり –

山下邸

Panorama

場所:楽蔵(分室)
期間:2011年01月07日(金)~31日(月)までの金、土、日、月曜日
時間:12時~18時
電話:011-563-1109
住所:札幌市中央区南4西9-1009-3(大正製薬、真裏)

この展覧は、「人間の起源」を基調底音としている。また、会場である「楽蔵(分室)」の始まりと、私の個人的な歩みを重ね合わせ、タイトルとした。展示内容は、彫刻と絵画、PANORAMA(横谷恵二氏制作)による。

築約100年のレンガの蔵を改修したいとのお話しを楽蔵オーナーの坂口ご夫妻から伺ったのは、今年(2010年)の6月のことだ。札幌 – 旭ヶ丘 – 山下邸での仕事(2008年夏~2009年冬)を当初から見て、共感して頂いたからだ。

8月、暑い夏いっぱいをかけて、ご夫妻と共に、工事を行った。私は、主に蔵部分を担当し、復元方向に改修を行い、新たな漆喰の壁一面と巨大な鏡を設営し、空間の要とした。

漆喰壁面に彫刻したシンボルイメージは、材をスチールに変えて、外壁で泳ぎ、未来へのモニュメントとなった。歴史と共に歩んで来た建造物に新たな息吹を吹き込むことは、翻って、自分自身の足元を探ることにもなった。

昨年(2009年夏~冬)、展覧をさせて頂いた札幌 – 旭ヶ丘の山下邸では、2008年夏から約一年間、改修工事を行った。築80年の木造建築には、たくさんのものが潜んでいた。ものに宿る人の営みである。また、営みを取り巻く、様々な関わりや繋がりである。

長い時の積み重ねが生み出す、一言では、到底、言い尽くせぬ堆積。私たち一人一人の人生が、歴史の刻々を刻んでいる。また、土地そのものの特異性である風土が、私たちを形作っていく。いわば、人は歴史を彫刻し、風土は人を彫刻する。そして、歴史が次なる人を彫刻し、人は風土を彫刻する。彫刻の往還が、この地球の原理と言えるかもしれない。そのことを強烈に感じた。

山下邸での展覧を見て下さったテンポラリースペースの中森敏夫氏より「REPUBLIC」と題して、山下邸での命題をより明確に出来ないかとのオーダーがあった。

今年(2010年)、7月~8月。テンポラリースペースの改修を含めた展覧を行った。スペースを創ってこられた中森氏と仲間の方々への尊崇と未来への希望を含んだ空間の実現を目指した。また、三人の写真家 (竹本英樹氏、藤倉翼氏、横谷恵二氏)の視覚を得、山下邸の記録を通して、パーソナルな人生の積み重ねを読み込んだ。現在、テンポラリースペースでは、多くの展覧会が行われ、既に、新たな空間は、当たり前に受け入れられ、新しい歴史が刻まれている。

時空間に深くダイブすることは、個々人のパーソナルな人生を紡ぎ上げ、巨大な人類の歴史に繋がることになる。また、地域を越えた地球規模の関わりを実感出来る。それは、どうやら、未来を見ることに繋がりそうだ。大切な方向を見い出せたようだ。

現在、これまでの経験から、見い出した、新たなDIVEと言う手立てを実行しつつ、たくさんの仲間と共に、来春(2011年)3月末からの札幌市役所ロビーでの展示を準備している。また、北海道 – 留寿都では、より広く、長期に渡る構想を実行しつつある。

今回の展覧「ORIGIN – はじまり – 」では、これまでの道のりから、より根源的な命題にフォーカスした。時と空間を突き抜けて存在の意味に迫ることが、彫刻の使命だからだ。

今、ここに存在する自分たち人間を、如何に普遍性の中で捉え得るのか。

あらゆるジャンルの最先端が、それを問うている。
新たな一歩を踏み出すのは、常に、今、ここからなのだ。

THIS IS IT.

この3年間、たくさんの方々からの応援と御協力を頂きました。
誠にありがとうございます。
深く深く、御礼申し上げます。
おかげさまで、新たなスタートラインを見いだすことが出来ました。
今後も、怠ることなく、前進致します。
御教授、御鞭撻の程、何卒、よろしくお願い申し上げます。

唐牛 幸史

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